「 彩 書 」

 

 

書は、線の美しさを極限にまで高めた、きわめて精神性の高い芸術です。

「彩書」は、その文字を構築する線の一画一画を面としてとらえ、そこに混沌の彩を与えることで、その文字の中に様々な情景をつくりあげています。

すべての面には色が複雑にからみあい、ひとつとして同じ彩をもった部分はありません。細部の彩に目を凝らせば、そこには人為の及ばない世界を見てとれるはずです。

その混沌とした世界はひとつの文字の中で劇的に変化していきます。はじまりの起筆はその文字の誕生を、最終画の収筆はその文字の終焉を意味すると考えるのならば、「彩書」はいわば文字の生涯を鮮やかに克明に記録した一本のフィルムのようなものと言っていいかもしれません。

巨視的に、文字としてあるいは音訓をもたぬ形象として認識し、微視的に、細部に宿った神的な世界に自らを投じる。

「彩書」の前に立つ人それぞれが、独自の解釈で、「彩書」の中にそれぞれの情景を見出し、その見出した世界の中に在ってほしいと思います。

 

     

                  彩書家 蘆野公一(Ashino Koichi)

© 2016 by Ashino Koichi /  書 彩  / Atelier KOY

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